仕事について(その7)

私は宿直の時の食事はほとんどカップ麺だった。他の社員の人もラーメン屋か牛丼屋か、コンビニ弁当だった。

年末年始の宿直は手当がついた。6000円位だったように記憶している。また、発報もほぼ無いので、相方と酒を飲んでいた。

作業服とベッドのシーツはクリーニング屋が来て回収していったが、引渡と処理したものを各個人のロッカーに配るのは当直者の仕事だった。

布団は乾燥業者が来て処理をしていった。

警備員と兼務なので警備員講習なるものが法律で義務付けられており定期的に講習があった。

話を聞くだけで、一応お飾りの効果測定があった。話の内容も巡回方法、警備棒の使い方、安全衛生の話、たまに所轄の警察署の人間が来ることもあった。

一応、設備管理のほうでも月一の会議があったが、結局、受注している工事の進捗状況とか、今後受注できる工事の案件の報告会だった。

何処のビル管理会社もそうだが、設備管理の場合、基本的な契約だけでは食べていけない。仕事そのものが社会から付加価値を生む仕事と認められておらず、値段の叩き合いである。

清掃や警備のほうは人手不足が相当深刻であるので、まだ多少の値上げを受け入れてくれるかもしれないが、設備はそうはいかない。

親会社のある管理会社の場合は、天下りと引き換えに、多少割高な契約で物件が受注できることもあるが、そのような物件だけで完結できる管理会社はほんの一握りであり、基本契約では利益が出ないもしくは薄利なので、改修工事を受注して、上乗せすることになる。

とはいえ、管理会社が内製で一定レベルの工事が出来る訳はないから、結局、元請けとしてピンハネをして業者に出すことになる。

こうなると設備員というよりは作業員兼営業の感じである。

管理会社によってはこの受注面に重きを置き過ぎる会社もあるという。

作業員で楽したいのに複数物件の担当とされ、日常作業+工事の受注が要求されるのでは、暇なときはスマホいじって楽できるというイメージからほど遠いものとなる。

そこまでやってもせいぜい400万程度の年収である。

そんな感じで5年ほど過ぎた。

常駐する現場に異動したいが、そんな話は一向に無かった。ところがである。