ビルメンと一人現場

楽を追求するくらいしかすることが無いビルメンにとって最高の現場とは何か?

それは一人現場に配属されることである。

その名の通り、一名で勤務する物件のことである。

一人だから、自分のペースで仕事ができる。発達障害の巣窟であるビルメン業界はとにかく、対人関係でのトラブル、そして転職が多い。

一人現場なら基本的にそういうリスクはない。

基本的というのがポイントで、一人現場なら何でもよいわけではない。

一人現場にもいくつかのパターンがある。

 

・警備兼任の現場。

管理室が1階エントランス部分にあり、ビルの受付を兼ねることがある。エントランスに向けてカウンターがあり、そこに座る。警備というか守衛を兼ねるわけですね。本当に警備員登録が必要な現場もある。

確かにこれは一人現場ではあるが、受付に座っているので、落ち着かない。

通り過ぎるテナント員に都度挨拶をしなければならない。これでは一人現場のメリットはだいぶ相殺されてしまう。

 

・オーナー同席の現場。

これ最悪。確かに一人現場ではあるが、管理室にビルオーナーが同席しており、オーナーもそこで執務する。個人オーナー系で時折見られる。

大抵の場合オーナーは一日中いるわけではないが、それにしても客だし、まったりすることが出来ない。

オーナーと相性が悪いと最悪。これは似非一人現場といえよう。

 

・真の一人現場

設備以外の仕事を行うことはなく、管理室にはビルメン一名のみが在室しており、他の人が入ってこない現場。これこそ、最高の一人現場である。場合によっては清掃員の手伝いが多少入るケースもあるが、概ねこのスタイルであればよいと思う。

 

一人で勤務するということはビルの面積も大きくない。5000平米以下辺りが多いと思う。負担も少ないだろう。

ただ、注意しないといけないのはオフィスビルならともかく、小さいが殆ど飲食店で占められているビルもあり、そういうところは何かと手間がかかるので、外れだ。

さすがにその手のビルだと二名勤務で早番、遅番でシフトを組んでいるだろう。

 

問題は、そんな一人現場だが、今時面積の小さいビルを有人管理するもの好きなオーナーは少なくなっており、どんどん無人化されている。

小さなビルでも水冷空調だったころの名残でビルメンが一人いて、空調が空冷に改修されて、無人管理でも問題はないものの、その名残で一人現場の契約が延々続いている感じだろう。

社内でも一人現場は人気であることが多く、簡単に異動できない。求人は出ないわけではないが、良いタイミングで転職できるとは限らない。

一人なので、大事故が起きても一人で対応するが、面積を考えれば大したことはない。ビルメン会社の本社の応援などあてにしてはいけない。どうせ来やしないし、来ても何もできないことが多い。ビルメンなんてテナントやオーナーに謝るのが仕事だし、あとは粛々と業者手配すればよいだけだ。

 

減ることはあっても増えることはない一人現場だが、どうしても行きたいという人は、金融系の物件を見てみるとよい。金融系のビルは小さなビルであっても、余裕があるのか、信頼性重視なのか、ビルメンを置いてあるケースが多い。

実は金融系が穴場だったのですね。そう、過去形で書いてある。

ご存じの通り、銀行などの支店の統廃合は昨今急激に進められており、この手のビルも数を減らしつつある。

まあ、この手の管理会社は銀行員が天下りしており、その手のわずらわしさなどもあって一概におすすめできないのだが、単純に事務所ビルの一人現場にどうしても行きたいというのであればまだ間に合うかもしれないし、もう手遅れかもしれない。

 

ただ、いきなり一人現場というのも不幸な話で、一般的な規模の物件を経験し、一通りの仕事を覚えたうえで行くことが望ましい。ビルメン程度の仕事でも意外と苦労する。

休暇については各社代務要員なるものがいて、休みの日はこの人に変わってもらう。問題なのは、代務要員が十分に確保されている管理会社とそうでない管理会社があることだ。結局、代務要員が来ることが出来る日に休むしかないというのが問題だ。

この辺りは多少の融通が必要で、無理ばかり言うと嫌われる。