仕事について(その5)

入社日当日。久しぶりにスーツを着る。

現場仕事だし大したことないだろうと思ったが、一応数人の役員がいて簡単なセレモニーとなった。

当日は入社手続きで終了し、翌日から出社となった。

入社二日目。

私の属性はみな周知していたようだ。無人管理なので、監視用コンソールの仕組みや操作方法の説明、1か月単位での作業スケジュールと定期点検の流れなどの説明を受け、終業後は簡単な歓迎会が行われた。

まあ第一印象としては普通だった。

入社三日目。

諸先輩の後について、定期点検に参加する。車で各現場を回り、各現場の諸設備の点検業務を行う。

こんな感じで1か月が過ぎ、宿直に入ることになった。

宿直担当者は昼間実施する定期点検は行わず、受電した警報対応、及び、契約に基づき、深夜早朝の巡回(鍵開け閉め)物件の対応のみを行うものだった。

何もなければ夕食を取りシャワーを浴び、寝るだけなのだが、勤務先で寝るということになかなか慣れることが出来なかった。

警報対応は大半が誤操作なので、現場確認をして簡単なリセット操作をすればよいのだが、中には漏水で天井から水が落ちてきたり、床から水が溢れたり、泥棒が入り内部が荒らされ、警察対応で朝まで現場から帰ることが出来ないこともあった。

出動報告書を作成するだけではなく、設備の異常があれば、更新、修繕の見積を取り、工事の立会を行い、報告書の作成、提出までが作業の一セットとなった。

場合によっては一人で各種案件を抱え込むこともあった。

質問すれば上司は教えてくれるしどうにかこなした感じである。

ただ、テナントやビル所有者と話をする機会がとても多く、この辺りは苦手意識があった。

単純に異常対応だけならよいのだが、その後の対応までを一セットとしているので、ビルメンらしい暇な感じというのはあまりなく結構手間なのは事実だ。

昨今ではビル管理とは言えどもこの程度の作業をする企業はだいぶ増えたように思う。昔のように対応のみであとはほとんど待機という物件は減ってきている。

基本サービス業なのでどうしてもクレーム対応が主だし、つまらない細々としたものが多い。