仕事について(その10)

初めてビル管理会社に入社して、巡回管理(警備兼務、宿直あり)、小型オフィスビル(日勤)、小型オフィスビル(日勤)と現場を異動してきた。

もう10年が経過したが、ついに、社内で悪名高い巨大現場への異動が決まった。

10万平米超の都心の大型オフィスビルである。所有者はだれもが知っている企業のはずなので書かない。

設備員だけで20人いるような現場だ。大変忙しく、異動の話があるとその場で退社する人も数知れず。異動後も一週間で退社する人も頻繁という話も聞こえてきた。

私もさっそく転職活動を試みることにした。

この当時の年収が420万円程度だった。

同じ条件であたってみたのだが、結局、異動予定の現場と似たような現場になってしまう。そうでなければ巡回管理の仕事である。

今の年収でかつ、一人現場などという募集が容易に見つかるわけもなく、しょうがないので、異動に応じることにした。

異動当日は大変に気が重かった。

またまた身の回りの物を持ち、上司に連れられ、現場に行く。

 

早速、所長に挨拶する。

「運が悪いと思っているかもしれないけど頑張ろう」とのこと。

契約先にも挨拶する。とても不愛想。

防災センターはそれはそれは忙しく、殺伐としており、雰囲気に飲み込まれてしまった。

業務のレクチャーを受けたが、書類の為の書類みたいなものがとても多く、たかだか報告の為にこんなに書類が必要なのかと思った。

また、建物がとても大きく、図面を縮小したものをもらったが、当然覚えられない。

10日間レクチャーし3か月は日勤で勤務し、その後宿直に入るとのこと。

早速設備員にも挨拶をするが、みんな疲れていたし、不愛想だった。

レクチャーしてくれる副責任者の人からいろいろ話を聞いたが、あまりにも大量の人が辞めるので皆が仕事を教える気力を失っているとのこと。

受注して10年ほど経っている現場だが、一番古い人で5年の人が一人いるだけで、それ以外は皆5年未満の人で、三分の一はこの現場でビルメンが初めてか、それに近いキャリアだという。本社から来た課長が所長の上に立ちどうにか回しているとのこと。

契約先が頻繁に報告という名の会議を開くのでその書類づくりで消耗してしまうとのこと。

常時欠員状態で申し訳ないが、明け残はほぼあること。残業代は出るので明け残の残業代を考えれば収入はそれなりに増えること。

工事で商売することが出来ず、工事は契約先指定の業者を用いて、当社は事務手数料名目で5%載せることしかできないことなどいろいろ教えてくれた。

「やっぱり外れだ」